Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふうきんとさかなのまち

風琴と魚の町

林 芙美子

Leggi 風琴と魚の町 (ふうきんとさかなのまち) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.372 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

父も母も、裾に寝ている私が、泪を流していると云う事は知らぬ気であった。

「あれも、本ばよう読みよるで、どこかきまったりゃ、学校さあげてやりたか」

「明日、もう一日売れたりゃ、ここへ坐ってもええが……」

「ここはええところじゃ、駅へ降りた時から、気持ちが、ほんまによかった。ここは何ちうてな?」

「尾の道よ、云うてみい」

「おのみち、か?」

「海も山も近い、ええところじゃ」

母は立って洋燈を消した。

6 この家の庭には、石榴の木が四五本あった。その石榴の木の下に、大きい囲いの浅い井戸があった。二階の縁の障子をあけると、その石榴の木と井戸が真下に見えた。井戸水は塩分を多分に含んで、顔を洗うと、ちょっと舌が塩っぱかった。水は二階のはんど甕の中へ、二日分位汲み入れた。縁側には、七輪や、馬穴や、ゆきひらや、鮑の植木鉢や、座敷は六畳で、押入れもなければ床の間もない。これが私達三人の落ちついた二階借りの部屋の風景である。

朝になると、借りた蒲団の上に白い風呂敷を掛けた。

階下は、五十位の夫婦者で、古ぼけた俥をいつも二台ほど土間に置いていた。おじさんが、俥をひっぱった姿は見た事はないが、誰かに貸すのででもあろう、時々、一台の俥が消える時がある。