Classici giapponesi con furigana
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ふうちそう
風知草
宮本 百合子
Leggi 風知草 (ふうちそう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.107 caratteri · 88 schermate
重吉はかえって来てから、自分が感じている善戦し責任を果した満足と歓喜とを、彼におとらない程度まで実感し、慶賀にみたされているいくつかの心があることを日ごとに発見しつつある。それは妻であるひろ子ばかりのことではなかった。歴史の野蛮な留金がはずされて、くりひろげられた世代の欲求のうちに、重吉の感じる共感が響いているのであった。あるときに、ひろ子を殆ど涙ぐませるのは、その共感に応える重吉の態度の諄朴さと、普通にない世馴れなさであった。重吉の挙止には、ひそめられている限りない歓喜と初々しさと、万事につき、見当のつかないところがまじりあっていた。それらすべては青年から壮年へと送られた重吉の獄中の十二年が、彼の人間らしい瑞々しさにとって、どんなに乾いたものであり、胃袋と同じくいつもひもじいものであったかを知らした。しかも、重吉はそれらについては何とも自分から話さない。十月十日に府中刑務所から解放された重吉の同志たちが、すぐ郊外に集団生活をはじめていた。そこへ重吉につれられて行って、ひろ子は、昔会ったことのあった婦人活動家の一人にめぐり会った。そのひとから獄中で死んだ幾人かの人々の話をきいた。