Classici giapponesi con furigana
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しょくま
食魔
岡本 かの子
Leggi 食魔 (しょくま) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.911 caratteri · 74 schermate
彼は、檜垣の主人を語って、この画家夫妻の帰りを待ち捉え、主人の部屋の画室へ、作品を見に寄って呉れるよう懇請した。その部屋には鼈四郎の制作したものも数々置いてあった。
彼は遜る態度を装い、強いて夫人に向って批評を求めた。そこには額仕立ての書画や篆額があった。夫人はこういうものは好きらしく、親し気に見入って行ったが、良人を顧みていった。「ねえ、パパ、美しくできてるけど、少し味に傾いてやしない?」良人は気の毒そうにいった。「そうだなあ、味だな」鼈四郎は哄笑して、去り気ない様子を示したが、始めて人に肺腑を衝かれた気持がした。良人の画家に「大陸的」と極めをつけられてよいのか悪いのか判らないが、気に入った批評として笑窪に入った檜垣の主人まで「そういえば、なるほど、君の芸術は味だな」と相槌を打つ苦々しさ。
鼈四郎は肺腑を衝かれながら、しかしもう一度執拗に夫人へ反撃を密謀した。まだ五六日この古都に滞在して春のゆく方を見巡って帰るという夫妻を手料理の昼食に招いた。自分の作品を無雑作に味と片付けてしまうこの夫人が、一体、どのくらいその味なるものに鑑識を持っているのだろう。