Classici giapponesi con furigana
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こうすいしんし
香水紳士
大阪 圭吉
Leggi 香水紳士 (こうすいしんし) di 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7752 caratteri · 16 schermate
紳士は、居睡っているのであるから、サンドウィッチを買ったって、構わないようなものの、しかし、物音を立てて、うっかり眼でもさまされたら、却って困る。
クルミさんは、そおッと自分のポケットへ手をやってみる。チューインガムもキャラメルも、まだそのままでジッとしている。
クルミさんは、固唾を呑みながら、外を見た。
窓の外には、すがすがしい新緑に包まれた湘南の山野が、麗かな五月の陽光を浴びながら、まるで蓄音機のレコードのように、グルグルと際限もなく展開されて行く。そういう景色を眺めながら、クルミさんはなんとかして自分の気持を引きたて、今朝の元気をとりもどそうと、つとめてみるのだった。
ところが、気持が引きたてられるどころか、この時、却って、大変もないことが起きあがってしまった。
さっきから、少しずつズレかかっていた紳士の顔の上の新聞が、この時、ガサッと音をたてて、紳士の横坐りになっている膝の上へ落ちて来た。
クルミさんはヒヤリとなった。どうしようかと思って、紳士の顔と、落ちた新聞を見較べた。
むろんこのまま、そっとしておくより仕方はない。がしかし、この時クルミさんは、思わずギクリとなった。