Classici giapponesi con furigana
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かけおち
駈落
佐左木 俊郎
Leggi 駈落 (かけおち) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6287 caratteri · 13 schermate
一
朝日は既に東の山を離れ、胡粉の色に木立を掃いた靄も、次第に淡く、小川の上を掠めたものなどは、もう疾くに消えかけていた。
菊枝は、廐に投げ込む雑草を、いつもの倍も背負って帰って来た。重かった。荷縄は、肩に焼け爛れるような痛さで喰い込んだ。腰はひりひりと痛かった。脛は鍼でも刺されるようであったし、こむらは筋金でもはいっているようだった。顔は真赤に充血して、額や鼻や頬や、襟首からは、汗がぽたぽたと滴り落ちた。
「ああ、重かったちゃ。俺あ!」
こう言って菊枝は、その雑草と一緒に、馬小屋の前に仰向きに身体を投げ出した。ほつれ下がった髪が、ぺったり顔にくっついていた。
「ああ、暑々。」
菊枝は身体を投げ出したまま、背負っている草の上に、ぐったりとなって、荷縄も解かずに、向こう鉢巻きにしていた手拭いを取って顔や襟首の汗を拭った。
婆さんが、裏の畑から、味噌汁の中に入れる茄子をもいで、馬小屋の前に出て来た。春からの僂麻質斯で、左には松葉杖をついていた。
「おう、おう、重かったべさ。二人めえもあっちゃ。」
蒼白い皺だらけの顔に、婆さんは、鷹揚な微笑を浮かべて、よろこびの表情を示した。