Classici giapponesi con furigana
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かけおち
駈落
佐左木 俊郎
Leggi 駈落 (かけおち) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6287 caratteri · 13 schermate
春吉は驚いたように言って、「五円なら、山の草手間十日分でねえが? そんな高えもの、とっても我々にゃあ……」
「贅沢ばり言って! ほだから見ろ。なんぼ稼えでも、貧乏ばりしてねえげなんねえ。みんな町さばり持ってかれで……」
爺さんは、ますます口を尖がらした。
「この辺で、俺ばんだ持ってねぇの。」
「そんなに高えもんなら、来年になってからでも、買ってもらうんだや。」と、婆さんはやさしく言った。
「そんなもの持だなげえ、お祭りさ行かれねえごったら、明日は、お祭りさ行かねえで、家の田の草でも取れ!」
爺さんは怒鳴りながら煙管で炉端を叩いた。父親の春吉は、もう何も言わなかった。深く考え込むようにして煙草を吸った。
四
菊枝は襟を弄りながら表へ出て行った。
「ほんじゃ汝あ、片岡さ寄れよ。俺、真っすぐに田さ行んから(父つぁんは田さ真っすぐに行ぎした)って……」
春吉が背後から声をかけたが、菊枝は何も答えなかった。彼女の眼には、いっぱい涙が溜まっていた。
本当に、豊作さんの言った通りだ! と菊枝は思った。「馬鹿らしくって、こんな田舎にゃあいられねえ。東京さ行って電車の車掌にでもなれば、まさかこんなに、牛馬のように使われねえだって。