Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうちがえり

高知がえり

寺田 寅彦

Leggi 高知がえり (こうちがえり) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3148 caratteri · 7 schermate

Aozora Bunko

この忙しいのにどんなに世話を焼かすか知れぬと頭ごなし。帰って来たとて宅に片時居るでもなし。おまけに世話ばかり焼かして……。もうそう時々帰って来るには及ばぬ……とカンカン。誰れか余所の伯母さんが来て寸を取っているらしい。勘定を持って来た。十五円で御釣りが三円なにがし。その中の銀一枚はこれで蕎麦をおごろうと御竹さんの帯の間へ。残りは巾着へ、チャラ/\と云うも冬の音なり。今日は少し御早くと昼飯が来て、これでまたしばらくと云うような事を云い合うて手早くすます。しばらくすると二階で「汽船が見えました」と御竹の声。奥からは「汽船が見えました。今日御帰りで御ざいますそうな」と御八重が来る。これはちと話の順序がちがっているようだ。料理人篠村宇三郎、かご入りの青海苔を持って来て、「これは今年始めて取れましたので差上げます。御尊父様へよろしく」と改まったる御挨拶で。そのうち汽船の碇を下ろす音が聞えて汽笛一声。「サアそろそろ出掛けようか。」「御荷物はこれだけで。」「イヤコレハ私が持って行こう。サヨーナラ。」「また御早うに……。」定勝さんも今日の船で帰校するとて、背嚢へ毛布を付けている。