Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げかしつ

高野聖

泉 鏡花

Leggi 高野聖 (げかしつ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.264 caratteri · 104 schermate

Aozora Bunko

「おまえさんどうもお強い。よく血の道が発りませんね。平気なものだ、女丈夫だ。私なんぞはからきし意気地はない。それもそのはずかい、もう五十八だもの」

その言の訖わらざるに、車は凸凹路を踏みて、がたくりんと跌きぬ。老夫は横様に薙仆されて、半ば禿げたる法然頭はどっさりと美人の膝に枕せり。

「あれ、あぶない!」

と美人はその肩をしかと抱きぬ。

老夫はむくむく身を擡げて、

「へいこれは、これはどうもはばかり様。さぞお痛うございましたろう。御免なすってくださいましよ。いやはや、意気地はありません。これさ馬丁さんや、もし若い衆さん、なんと顛覆るようなことはなかろうの」

御者は見も返らず、勢籠めたる一鞭を加えて、

「わかりません。馬が跌きゃそれまででさ」

老夫は眼を円くして狼狽えぬ。

「いやさ、転ばぬ前の杖だよ。ほんにお願いだ、気を着けておくれ。若い人と違って年老のことだ、放り出されたらそれまでだよ。もういいかげんにして、徐々とやってもらおうじゃないか。なんと皆さんどうでございます」

「船に乗れば船頭任せ。この馬車にお乗んなすった以上は、わたしに任せたものとして、安心しなければなりません」