Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げかしつ

高野聖

泉 鏡花

Leggi 高野聖 (げかしつ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.264 caratteri · 104 schermate

Aozora Bunko

「私にはまだよく馬が動きません」

「活きてるものの動かないという法があるものか」

「臀部を引っ撲け引っ撲け」

奴は苦笑いしつつ、

「そんなことを言ったっていけません。二頭曳きの車ですから、馬が一匹じゃ遣り切れません」

「そんならここで下りるから銭を返してくれ」

腹立つ者、無理言う者、呟く者、罵る者、迷惑せる者、乗り合いの不平は奴の一身に湊まれり。渠はさんざんに苛まれてついに涙ぐみ、身の措き所に窮して、辛くも車の後に竦みたりき。乗り合いはますます躁ぎて、敵手なき喧嘩に狂いぬ。

御者は真一文字に馬を飛ばして、雲を霞と走りければ、美人は魂身に添わず、目を閉じ、息を凝らし、五体を縮めて、力の限り渠の腰に縋りつ。風は※々と両腋に起こりて毛髪竪ち、道はさながら河のごとく、濁流脚下に奔注して、身はこれ虚空を転ぶに似たり。

渠は実に死すべしと念いぬ。しだいに風歇み、馬駐まると覚えて、直ちに昏倒して正気を失いぬ。これ御者が静かに馬より扶け下ろして、茶店の座敷に舁き入れたりしときなり。渠はこの介抱を主の嫗に嘱みて、その身は息をも継かず再び羸馬に策ちて、もと来し路を急ぎけり。