Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate

Aozora Bunko

いけない! 先を越せ! と思った玄蕃、叱咤した。

「僞狂人! 尋常に斬り込んで来いッ!」

その、来いッ! が終った秒間、フッ! 喬之助の吹く息と倶に、落ちた――漆黒の闇黒が室内に。

同時、ドサドサッと畳を蹴る音。白い線が二、三度上下に靡いて、バサッ! ガアッ!――と軋んだのは、骨を断った響きか。

うわあッ! と直ぐ、あとは、よよと許りに悲泣する小児のような泣き声。

終始、喬之助は、掛声ひとつ発しなかった。

八

「殿様、殿様――」

はいれと言われてはいりもしない長庵、それかと言って帰るでもない、いわゆる怖いもの見たさというやつ。

今に何かはじまるかなと、ソッと玄関口から首を入れて覗いていると、あちこちで戸締りを調べ歩いてる用人仲間などの物音がするだけ、奥の方はシンと静まり返っているから、長庵、

「何でエ。格別のこともねえじゃアねえか。面白くもねえ。お命頂戴、只今参上はいいが、一たいいつ来るっていうんだろう?」

ひどいやつがあったもので、人の危難はわが楽しみ、まるで芝居の幕があくのを待つような心もちで、

今にも何か起らねえか――耳をすましている。