Classici giapponesi con furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate
もしや……エエ縁起でもない! 自ら問いみずから打ち消して、園絵は呆然と立ちつくしている。裏木戸近くの風呂場の外だ。生いしげる笹の葉から宵やみが立ち昇って、山の手の逢魔ヶ刻、森閑としている中に、夕餉の支度に忠助が台所で皿小鉢をうごかす音――いつまで立っていても、いない喬さまが出てくるわけはない。
帰りましょう帰りましょう……引っ返そうとした。と、声がした。
「アノ、ちょっと御新さん――」
女の声だ。ふり向く。裏木戸のそとに女のすがたがある。しきりに手招きしているのだ。その手招きに吸い寄せられるように、園絵は二、三歩、そっちへよろめいた。
「どなた――どなたでございます。何ぞ御用でございますか」
「ホホホホ厭だよこの女は、用がなくて神田くんだりから出てくるもんですかね」
これが初対面の挨拶だ。見ると、黒襟の半纏をズッこけそうに引ッかけて、やけの洗い髪、足の指にはチョッピリ鳳仙花の紅をさしていようという、チャキチャキの下町ッ児、大変者の風格だから、園絵は思わず用心をして、
「御用がおありでしたらおはいりなすって下さいまし」
「焦れッたいねえ。お前さんに出て来て貰いたい用なんでございます」