Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate

Aozora Bunko

その、渡り職人らしくない、一分の隙もない喬之助の体配りが、また、壁辰をして、これは確かに武士、武士も武士、大きに腕の立つ武士にきまったと、疑いから確信へ、はっきり思わせたのだった。

油断はならぬ! 壁辰は、相手に気取られぬようにそろそろと、内ぶところの手を丼へ入れて、そこに、寝る間も離したことのない十手の柄を、いざとなったら飛び掛る気、朱総を器用に手の甲へ捲き締めて、ぎっしり握った。

無言。眼と眼がガッチリ合って、火花を散らしそう――危機を孕んで、今にも激発しそうな沈黙が、一瞬、また二瞬――。

と!

不思議なことが起った。

喬之助がニッコリ微笑したのである。

江戸一の美女伊豆屋のお園と夫婦になり、お園改め園絵と並んで内裏雛と言われたくらい、そのお園にちっとも見劣りがしないどころか、却って、男だけにきりっとしていて立ち勝って見えるほどの名打ての美男だ。この名打ての美男が、気を張り詰めてポウッと上気していたところへ、何を思ったか、急にニッコリ白い歯並を覗かせたのだから、女なら傾国の一笑というやつ――壁辰、訳もなく釣り込まれて、こっちも、にっと笑ってしまった。