Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate

Aozora Bunko

が、口に出たのは、強い叱咤だった。

「何を、ふざけたことを吐かしゃアがる、惚れたの腫れたのと、そ、そんな――聞きたくもねえや。やい、どけッ! 退かなきゃ蹴殺すぞッ!」

「え。殺されてもどきません!」お妙は、さながら鬼神にでも憑かれたように、壁辰と喬之助の間にぴったり坐って、じりり、膝頭で板の間をきざんで父に詰め寄った。

「お父つぁん! どうせあたしは女のことで、むずかしいことは解りませんが、お父つぁんは、黒門町の、壁辰と言われる立派なお顔役じゃアありませんか。いいえ、ぱりぱりの江戸っ児じゃアありませんか。平常から、お父つぁんは何とお言いです? 男は気性一つが身上だ。こころ意気ってものが第一だ。胸の底が涼しくなけりゃア、人間の皮はかぶっていても、人間じゃアない。男じゃアない。江戸ッ児のうれしいところは、何よりも義理ってものを大事にするからだ。壁一つ塗らせても解る。心底のさっぱりした者の塗ったのは、さあッと乾いて、しっくり固化っていて、まるっきり上りが違う。恐ろしいものだ――と、いうのは、これは、お父つぁん、あなたの口癖、十八番じゃアありませんでしたかしら? それに何です? その江戸ッ児の、黒門町の心意気はどこへ行ったのです? そりゃあこのお方は、いま江戸中の目あかしが、それこそ足跡を嗅ぎ廻っている重い科人かも