Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate

Aozora Bunko

知れません。でもねえお父つぁん、この人は黒門町の壁辰は十手をあずかっている。ここは岡っ引きの家だと知って、それを承知ではいっていらしったのではございません。ほんとに知らずにいらしったのです。言ってみれば、この人がここへ来たのはほんの廻り合わせ、捕えたところで、べつにお父つぁんが網を手繰ったわけではなし、あんまり手柄顔も出来ないじゃアありませんか。それより、あたしは、寝覚めが悪かないかと思いますよ。ことにこのお方は、その用事とやらが済み次第、御自分から手をまわして、きっとお父つぁんの手にかかると、お侍のお言葉です。あんなにきっぱりお約束なすっているじゃアありませんか。お父つぁんのしじゅうおっしゃる、嬉しいきっぷ、こころ意気とやらいうものは、いったいどこにあるのでございましょう。鳥が逃げ場を失くして懐中へ飛び込んで来れば、猟師もその鳥を殺さないとかいうではありませんか。お父つぁん、しっかりして下さいよッ! 耄碌なさらないで下さいよ。これはあたしの、大事な人じゃアありませんか。厭ですねえ」

一世一代のたんかだ。お妙は、町娘らしい何時もの内気さをスッパリ忘れたように、こう言い切って、きッ! と父親を見上げた。