Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ましょうのおんな

魔性の女

大倉 燁子

Leggi 魔性の女 (ましょうのおんな) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9898 caratteri · 20 schermate

Aozora Bunko

四

そしたら文句はあるまい」

「でも奥様は、あなたの全財産なんかより、あなたという人が欲しいんじゃないか知ら?」

「なら、どうすればいいって云うんだ?」

彼は焦ら焦らして怒ったような口調で云った。

「どうすればって、私には分らないけれど、きっと離婚を承知されまいと思うのよ」

「どこまでも従いて来ようって云うんなら――、そして、いつまでも、この僕を金しばりにして苦しめようって云うんなら――」

と彼は血の気がさっと顔から退いて、鼻の頭に油汗がにじみ出た。

「どうしても離れないって云ったら、永久に僕から離れて、二度と附き纏えないようにしてやる」

「と、仰しゃると? どうなさるの?」

不穏の空気に、桃子はおびえながら青くなって訊いた。

「うむ。その時は――、その時は殺しちまうばかりさ。殺せば完全に僕から離れる。いや、それは冗談だよ。アハハハハ」

桃子は彼の膝に顔を伏せた。

彼女の頭の上で、本庄の空虚な笑い声がつづいた。

四

安子は本庄の帰って来る時間を知っているように、玄関のベルを鳴らそうとすると、内から扉を開けてにこやかに彼を迎えた。

茶の間に入ると、お銚子がいいお加減についていた。