Classici giapponesi con furigana
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さかなのえさ
魚の餌
梅崎 春生
Leggi 魚の餌 (さかなのえさ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4827 caratteri · 10 schermate
身悶えするゴカイに釣針を刺すのは、一種のふしぎな快感があった。
で、その日は曇っていた。沖の方が暗くて、夕立が来そうな気配もあった。僕は沖の方に向いて釣っていたのだ。防波堤の外側と内側とでは、その日によって釣れ方がちがうし、また釣れる魚の種類もちがう。その日は外側の方が当りが良くて、皆そちら側に竿を出していたというわけだ。
その子供たちは餌を使い果たしたのか、人の魚籠を見て廻ったり、脚を組んで沖を眺めたり、そんなことばかりしていたんだが――、ふと僕は餌をつけかえようとして、傍の餌箱を見た。するとゴカイがいなくなっている。
まだ十匹余りいた筈なのに、それが、二、三匹になっていて、その二、三匹も箱のふちにひっかかってだらしなく伸び縮みしている。
盗ったな! 僕ははっと四辺を見廻した。その子供たちは、内側の方に腰かけている。ふり返って僕を眺めていたらしい小さい方の子供の視線と、僕の視線がパッと合った。急におびえた表情になって、視線を外らして、すこし身体を兄の方にずらすようにした。兄の方は、黙って釣糸を垂れたまま、じっと浮子を眺めている。
さっきまで釣りは止めて、そこらをウロチョロしていたし、またぼんやり海を眺めていたではないか。