Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
紐
女の涙ほど嘘のあるものはない。ほんとに泣いた涙でも、女は、あとでそれを嘘にして平気なものだ。ましてや、あの女は、無理無態に、海を越させてきた女ではないか。
失策だ、失策だ。とり返しのつかない失策をやってしまったのではないか? ――と、彼は人知れぬ焦躁をもって、殿の枕元に坐っていた。
かれ以外に、夜詰の間にも、常より多くの侍がつめたが、妙に、その晩は徳島城に鬼気があった。陰にみちた人の心が鬼気をよぶのだ。そして、誰も口には出さないで、誰の胸にも俵一八郎の死がこびりついている。
だが、三位卿だけは、おのれの部屋へひきあげた途端に、いとすこやかないびきをかいて寝てしまった。春は蛙の目借時、かかる日も、食客殿は幸福であった。
紐
いまわしい運命の呪縛からのがれたい一心に、さまざまと手をくだいた甲斐があって、川長のお米は、やっと、なつかしい大阪の町を、再び目の前に見ることができた。
土佐堀口の御番所で四国屋の藍船が、積荷しらべをうけている間に、許されて、その親船を離れた一艘の艀は、幾つもの橋の下をくぐって、阿波座堀の町を両岸に仰いでいる。
お米は日傘をさしてそれへ乗っていた。