Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「ウム」と重くうなずいた。
そして一歩、中へ足を踏み込もうとした時に、ゴソゴソと、すれちがいに、外へ出てきた者があった。
手拭に髪をくるんだ若い女と、渋合羽にまんじゅう笠をかざした仲間。
出会いがしらの目を避けて、さりげなく行き過ぎようとした男女の足は、
「待てッ!」
という一喝を浴びて、思わずすくみ止まってしまった。
「不審なやつ、ふたりともしばらく待て!」
こうしっかりと呼び止めておいて、三位卿、あの炯々と射るような眼をジッと注いだ。
まんじゅう笠のツバをおさえて、小腰をかがめた仲間と、手拭をかぶった艶やかな女の影が、暗がりの中に肝を縮めている。女の口にくわえている手拭の端がワナワナとふるえているように見えた。
だが、この男女があわてて小屋から出てきたとたんに、誰よりも狼狽し、誰よりも穏やかでない色をなしたのは、三位卿の側についてきた啓之助で、向うにうずくまった影を見るや、
「ちッ、どじな奴め」と人知れず腹立たしい舌打ちをしたことである。
アレほど噛んで含めるようにいってあるのに、何をぐずついてこんな所に、有村の目に触れるのを待っていたのだ! 迂愚め! 鈍智!