Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「おれもこんどは落ちつくぜ。うム、御恩賞と扶持米を大事に守って、昔のとおり川島の原士となって、この屋敷を建てなおすつもりだ」
周囲の者にも、こんな放浪児らしくない気持をもらした。
焼きが廻ったというものであろうか、それとも、人間らしいところへ落ちついてきたのであろうか、とにかく、吉運到来がだいぶ獰猛性を和げているのは事実だ。
「おれだって、後生は安穏に送りてえからな」
といったところが本音であろう。
そこへ有村が来てかれを誘い、一行四人、吉野川の上流へと急いだ。
灼くような陽が、かれらの笠の上から焦りつけた。有村も一角も、袴の上から小袖を脱いで、白い肌着になっていた。柄頭の金具や刀の鍔も、手をふれると熱いほど焼けている。やがて仰ぐ行く手の雲と雲の間に剣山の姿がどっしりと沈んで見えた。
甲賀世阿弥のいる山だ。
全身の血とぎらん草の汁をしぼって、かれが孜々と書き綴っていたものは、もうどの辺まで進んでいるか?
三位卿たちは世阿弥が最後の仕事として、そういうことに魂を打ちこんでいるとは夢にも知らなかった。だが、ぜひとも、かれを殺してしまうことが、最善の手段だとは考えついていた。