Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「あいや」
と、少し笠を揺るがせる。
「この野郎、唖ではない」
かッと、怒っていうのを冷やかに、
「無論――」
と、声を含んで、
「唖ではござらん!」
さらに一歩、あきれ顔の捕手の前へ出て、それには目をくれず、紺べりをつかんで相手の肩越しに、後の人数の影を見る。
とは知らずに、得意な眼八と五人の同心組、なお十四、五人の捕手に縄付の前後をまもらせて、何かガヤガヤと話しあいながら、杉と杉との間をうねって押してきたが、道が狭いので三人と肩を並べては歩けず、そのまに先がつかえてしまった。
「オイ、どうしたんだ?」と、うしろのほうであせっているのは眼八の声。
その返辞もこずに前の者が、逆に、タジタジと後退ってきたので、のび上がってみると、ひとりの遍路を相手に何か言い争っているふうなので、眼八は縄付のそばを離れて、すばやくそこへ潜って行った。
と見て、海部同心の安井、土岐、助同心の岡村勘解由、眼八について列の前へかき分けて出る。
遍路は、磐石のように佇立したまま、しきりと猛る捕手などには、言葉もくれず、耳も藉さない。そうして、同心組の者が来るのを待ち設けていたように思われる。