Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
かれは阿波へ来る前まで、ふたりの仲がどれほど密に深いものかを思ってみて、寝苦しい夜があった。その後、あの暴風雨の夜の狂瀾に、死んだものとのみ信じた後はさすがに煩悩の霧が散ってせいせいとした気もちであったので、今、お綱の姿を見ても、得ようとする念はなかった、殺意のほうが強かった。遂げえぬ悪魔の恋は、必然な、破れかぶれに変ったのである。殺刀の下に魂切らすことによって、永い間の鬱怨を思い知らせてやろうとする。
追いつくと一緒に、孫兵衛、
「そこへはやらねえ」
と、背すじへのぞんで、助広の白光を一揮りなぎつけたが、崖に等しい傾斜であり、灌木の小枝に邪魔されて、行き方少し軽かったか、
「あッ」
と、横ざまに走った小脇差、女の力ではね返された。
「孫兵衛だね!」
「急いだところでムダだろう、甲賀世阿弥はたった今おれが殺してきたばかりだ。サ、次にはてめえの番」
「えーッ……じゃあ……」
山の根も揺るいだかと思うほど、仰天してよろめいた身を、お綱はあやうく手で支えた。
「てめえにはまたさんざッぱらな怨みもある、なぶり斬りにしてやらなけれや、このお十夜の虫が納まらねえ。お綱、覚えていたろうな」