Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
――急ぐほどに津田の追分。
そこで、弾んできた周馬の足はハッとすくんだ。
けれど、考えてみると、自分の姿は、人形箱と柿色の頭巾袖無にくるまれていた。かれは、図太く多寡をくくって、折から混んできた、野菜車や旅人や小荷駄の群れの往来にまじって、ゆっくりと通りぬけた。
「ああ、びっくりした」
次の立場を眺めてから考えた。
「どうして嗅ぎつけやがったのだろう?」
津田の辻の葭簀を張った一軒の家に、たしかに、阿波の侍と、三位卿らしい者と、おぼえのあるお十夜の頭巾が見えた。皆、物々しい装いでかたまっていた。
「あぶねえ、あぶねえ」
薄氷をふんできたような心境が、後になってゾッと背すじを這いあがった。
おびえがさめて安心がつくと、周馬、こんどは先頃手紙をやっておいた堀田伊太夫の方の首尾を案じだした。
お千絵を山科まで連れだしたということは、その前にかれから知らせをうけていたが、うまく今日、時刻を計って、禅定寺峠の麓へ来あわせてくれればいいが? ……
とかく、それも悪くない心配だ。空想は道のりを忘れさせて、いつか郷の口、程なく静かな村をぬける。禅定寺の山門と真ッ黄色な銀杏の梢があなたに見えた。