Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

軽焼種というのを売るのです。それは牛皮のようなものですが、焼けば大きく脹れるといいます。けれどもいつもそのままで食べました。珍しく大きな軽焼を白雪といいました。握り拳くらいあります。それもおいしいですけれど、本郷には大きな缶がないので、湿るからといって、人数だけ買って帰りました。

大学の構内を通り抜けて、赤門を出て左へ曲って、本郷の通りへ行きますと、三丁目の角に兼康という小間物の老舗があります。美しい髪飾のいろいろ並べてあるのを、客は代る代る取出させて見たりしています。そうした様子を、右手の横から、神農の薬草を持った招牌が見詰めているようです。その神農の白髪と、白髪の長いのとがお父様に似ているといったら、祖母に笑われました。

すぐ傍に岡野という菓子屋があります。これも老舗で、店の正面の神棚に、いつも灯明がきらきらしています。その下の格子戸を透して、大勢の職人が忙し気に働いているのが見えます。そこで乾いた品を少し買います。祖母が千住へ行く時、弟への土産のためです。木の葉の麺麭といって、銀杏、紅葉、柿の葉などの形の乾いた麺麭に、砂糖が白く附けてあるのが弟の好物でした。