Classici giapponesi con furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate
「沙羅の木」の詩が合唱せられて、式が始まりました。曾孫たちの小さな手で、幕がするすると除かれます。谷口吉郎博士の設計に拠るということで、特に明治の煉瓦を集めて十三間の塀を作り、二尺五寸に三尺六寸の横長の黒御影石を嵌めこみ、それに永井荷風氏が「沙羅の木」の詩を書かれたのです。その傍には詩に歌われた根府川石をあしらった沙羅の木の白い花が一つ二つ夢のように咲いています。
左寄りに大理石の兄の胸像があります。これは武石弘三郎氏の力作で、博文館で文界十傑を募集した時当選したのに対して、損得を離れて製作せられたものでした。長く処を得なかった胸像もよく掃除せられ、黒花崗と耐火煉瓦とを四角に積重ねた美しい台の上に据えられて、晴上った日に照らされ、つぎつぎと花を捧げる小さな曾孫たちを笑顔で見下されているようです。
私は近来耳が遠いのですから、佐佐木氏のお歌を始め、つぎつぎとお話下さる皆様のお言葉がはっきり聴分けられなくて残念です。そんなわけですから、近頃は人の集まる処へは出ないことにしています。もし出れば無言劇でも見るような気になっているより外はありません。耳が遠いといえば尾崎行雄氏が与謝野さんの歌会へお出になって、いつも聴音器(イヤホーン)を卓に置いていられたお姿を思出すので、私も使って見ましたが、工合よくまいりません