Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

祖父は碁に凝ったためと思われたと見えて、その後は碁石を手にせられませんでした。

長兄のお書きの伊沢蘭軒の伝にも、似寄りの話が出ています。蘭軒が病家からの帰途、雨の夜で、若党が提灯を持って先に立って行きます。蒟蒻閻魔のお堂に近い街を過ぎる時、菅笠を被った童子が後から走って来て、並んで歩きました。

「おじさん、怖くはないかい。」

蘭軒は答えません。童子は反覆しました。若党は振返って見るなり、「あっ」と叫んで、傘と提灯とを投出しました。

「どうしたのだ。」蘭軒が問いました。

「今お側にいた小僧は、額の真中に大きな目が一つしかありませんかった。」

「ばかをいうな。そんなものがあるものか。お前の見損いだ。」

「いいえ、河童が出たのです。あの閻魔堂の前の川には河童がいます。」

蘭軒は高笑いしました。「目が闇に慣れて来た。思いの外暗くはない。提灯と傘とを拾って来い。」

伊沢の家には近視の遺伝がありました。それで蘭軒は童子の面を見ることを得なかったというのです。なんというよく似た話でしょうか。けれども森の家には近視眼の遺伝はないのです。

ずっと後のことですが、次兄の篤次郎は筆名を三木竹二といって、大の芝居好で、九代目団十郎が贔屓でした。