Classici giapponesi con furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate
これを見て私は、また祖母の話を思出したのです。風の冷い晩秋の頃、毎夜二、三の同僚の家へ代る代る集って謡の会をするのに、祖父も混っていられました。藩主は謹厳な方で、歌舞音曲はお好みになりませんでしたが、謡はなさるとのことでしたから、自然家中の者も嗜んだのでしょう。その祖父が或夜帰られませんので、病気でも出たのかと早朝人を出しましたら、途中の森の社の廻廊で睡っていたというのです。
「誰とも知らぬ二、三の人と出逢って、ここに立寄ったが、医道について論ずるのに、甲論乙駁という有様で果てしがなく、ついに言伏せはしたが、ひどく疲れた」と祖父はいわれたそうです。
「高時」の芝居を見てそのことを思浮べた私は、そっと祖母の袖を引いて、「おじい様がお社で人と議論をなすったというのも、あんなでしたろうか」と申しましたら、「そんなお話は人中でするのではありません」といわれました。
頭は円いし、相貌は立派ですし、祖父もあんな風ではなかったかと思ったのです。それで帰ってから兄たちにいいましたが、誰も相手にしませんかった。
祖母
森の祖母が八十八で亡くなったのは明治三十九年七月で、ちょうど於菟さんと、宅の長男と、二人の曾孫が高等学校へ入学した時でした。