Classici giapponesi con furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate
日記にはなお賀古氏と相談したともしてあります。賀古氏も定めし案じて下すったのでしょう。でも直接その話には関係なさらなかったようです。
十月十七日になって、エリスは帰国することになりました。だんだん周囲の様子も分り、自分の思違えしていたことにも気が附いてあきらめたのでしょう。もともと好人物なのでしたから。その出発については、出来るだけのことをして、土産も持たせ、費用その外の雑事はすべて次兄が奔走しました。前晩から兄と次兄と主人とがエリスと共に横浜に一泊し、翌朝は五時に起き、七時半に艀舟で本船ジェネラル・ウェルダーの出帆するのを見送りました。在京は一月足らずでした。
思えばエリスも気の毒な人でした。留学生たちが富豪だなどというのに欺かれて、単身はるばる尋ねて来て、得るところもなくて帰るのは、智慧が足りないといえばそれまでながら、哀れなことと思われます。
後、兄の部屋の棚の上には、緑の繻子で作った立派なハンケチ入れに、MとRとのモノグラムを金糸で鮮かに縫取りしたのが置いてありました。それを見た時、噂にのみ聞いて一目も見なかった、人のよいエリスの面影が私の目に浮びました。