Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

かもめ

鴎

太宰 治

Leggi 鴎 (かもめ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.451 caratteri · 23 schermate

Aozora Bunko

新聞が騒ぐだけですよ。そのときは、そのときで、どうにかなりますよ。」

「そうかね。ふとんをしいてくれ。今晩は、仕事は休みだ。」

もう酔いがさめている。酔いがさめると、私は、いつも、なかなか寝つかれない性分なのだ。どさんと大袈裟に音たてて寝て、また夕刊を読む。ふっと夕刊一ぱいに無数の卑屈な笑顔があらわれ、はっと思う間に消え失せた。みんな、卑屈なのかなあ、と思う。誰にも自信が無いのかなあ、と思う。夕刊を投げ出して、両方の手で眼玉を押しつぶすほどに強くぎゅっとおさえる。しばらく、こうしているうちに、眠たくなって来るような迷信が私にあるのだ。けさの水たまりを思い出す。あの水たまりの在るうちは、――と思う。むりにも自分にそう思い込ませる。やはり私は辻音楽師だ。ぶざまでも、私は私のヴァイオリンを続けて奏するより他はないのかも知れぬ。汽車の行方は、志士にまかせよ。「待つ」という言葉が、いきなり特筆大書で、額に光った。何を待つやら。私は知らぬ。けれども、これは尊い言葉だ。唖の鴎は、沖をさまよい、そう思いつつ、けれども無言で、さまよいつづける。