Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
かもめ
鴎
Leggi 鴎 (かもめ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.451 caratteri · 23 schermate
戦線からも、小説の原稿が送られて来る。雑誌社へ紹介せよ、というのである。その原稿は、洋箋に、米つぶくらいの小さい字で、くしゃくしゃに書かれて在るもので、ずいぶん長いものもあれば、洋箋二枚くらいの短篇もある。私は、それを真剣に読む。よくないのである。その紙に書かれてある戦地風景は、私が陋屋の机に頬杖ついて空想する風景を一歩も出ていない。新しい感動の発見が、その原稿の、どこにも無い。「感激を覚えた。」とは、書いてあるが、その感激は、ありきたりの悪い文学に教えこまれ、こんなところで、こんな工合に感激すれば、いかにも小説らしくなる、「まとまる」と、いい加減に心得て、浅薄に感激している性質のものばかりなのである。私は、兵隊さんの泥と汗と血の労苦を、ただ思うだけでも、肉体的に充分にそれを感取できるし、こちらが、何も、ものが言えなくなるほど崇敬している。崇敬という言葉さえ、しらじらしいのである。言えなくなるのだ。何も、言葉が無くなるのだ。私は、ただしゃがんで指でもって砂の上に文字を書いては消し、書いては消し、しているばかりなのだ。何も言えない。何も書けない。けれども、芸術に於いては、ちがうのだ。