Classici giapponesi con furigana
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こうとう
黄灯
田中 貢太郎
Leggi 黄灯 (こうとう) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.262 caratteri · 21 schermate
「お前さんが持って往くだろうね、持ってくと云ったら、持っておいでよ、余計なことを云わなけりゃ、書生さんに頼んだのに、この寒いのに、二つや三つの豆腐で風邪を引いちゃ、あわないじゃないの」女房は突っかかるように云って主翁を見おろした。
主翁は書生が帰ったので、待兼ていて盃を持ったところであった。
「出入のお邸じゃないか、大事のお顧客様だ、そう云うなよ」
「お顧客だって、お邸だって、書生さんなら好いじゃないか、持って往きよ」
「まあ、そう云うなよ、大事なお顧客様だ、しかたがない、お前持って往け」
「私、厭だよ、お前さんが持ってくと云ったから、持って往きよ」
「まあ、そう云うなよ、お前持ってって来い、大事なお顧客様だ」
「それ、よう往かないでしょう、月夜の晩でさえ、お寺の傍が恐いとか何とか云ってるじゃないか、今晩は真暗だよ、それに雨も降ってるし、私だって恐いじゃないか、お前さんが持って往きよ」
「そんなことを云うなよ、お前が往って来い、暗けりゃ、提燈があるじゃないか」
「お前さんが、その提燈で、持ってお出でよ」
「そんなことを云うなよ」臆病な主翁は、しかたなしに盃の酒を飲んで、後を酌ぎながら、「つまらんことを云わずに、早く往って来いよ」