Classici giapponesi con furigana
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こうとう
黄灯
田中 貢太郎
Leggi 黄灯 (こうとう) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.262 caratteri · 21 schermate
主翁は食卓へ縋りつくようにした。女房はそれをじろじろ見ていた。
「私はどうしようかと思ったのですよ、坂の下まで夢中に駆けて来ると、書生さんが三人上からおりて来たので、やっと人心地がついたのですよ」
主翁は返事のかわりに溜呼吸をした。女房は笑いだした。
「ほんとに恐がりね」
主翁も女房のかついでいたことに気が注いた。
「なんだ、俺をかついでいるのか、そんなことは恐くはねえや」
「ほんとに、お前さんは臆病だよ」女房は笑うのを廃して真顔になり、「さ、御飯を早くお喫りよ」
「ふざけるねえ、なにが恐い」
主翁は両臂を張るようにした。
主翁は枕頭に坐った女房に揺り起されてやっと眼を覚したが、眠くて眠くてしかたがないので、伸ばした右の手の手首を左の指端で掻きながら寝ぼけ声を立てた。
「まだ早いじゃねえか、そんなに早く起きたってしかたがねえ」
「早くはないのだよ、もう四時だよ、さっさとお起きよ」
「四時になってからでも好いよ」
「いけないのだよ、早くしないと、日の短い時は、何もする間がないじゃないの、お起きよ」
女房がまた体を揺るので、主翁はしかたなしに起きて、蒲団の上に蹲み、睡い眼をしょぼしょぼさした。