Classici giapponesi con furigana
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てらだとらひこ
黄道
和辻 哲郎
Leggi 黄道 (てらだとらひこ) di 和辻 哲郎 (わつじてつろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.971 caratteri · 59 schermate
空は美しく晴れて太陽が明るく輝いている。風はかすかに肌に感じるほどの微風である。あたりにはこれといって異常な現象も見えない。がこの平生のとおりな静かな自然がなんとなく気味悪く見える。あとで妖怪の本性を現わす美しい女郎のような気味悪さである。正午以来時間の感じをかき乱されていたので、ちょうど時間がある点で停止して淀んでいるような、いわば魔術使いの呪文で時間が魔縛されているような、不思議な気持ちだった。
夕方には南方の大きい入道雲がいつの間にか消えて、北東の高い入道雲がやや東方に移りつつますます大きくなった。そうして日が傾くと共に雲の根が赤くなり始めた。日没後には南方から東北方へかけて打ち続いた煙雲の下半部が一面に真っ赤に見え、その根元には燃え上がる炎が凄じい勢いで動いていた。特に東方より北東にかけての方面が物凄かった。あとで考えるとこの方面に日本橋、神田、浅草、本所などが重なっていたのである。この有様におびえた人々は、ときどき火事が近づいたというような噂を伝え合って、自分の家族なども、自分が火の模様を見に行っている留守に、持ち出すものの荷造りをしたほどであった。