Classici giapponesi con furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Leggi 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.792 caratteri · 82 schermate
「いゝえ、そんな事はございません」
「では、途中でどこかに寄りはしなかったか」
「鳥渡買物に寄りました」
「なにッ、買物に。そこで君は薬包をどこかへ置きはしなかったか」
「いゝえ」
「ひょっと落して、人が拾って渡したようなことはなかったか」
「いゝえ」
「では、初めからずっと持ち続けていたんだね」
「はい」
「薬包はむき出しに持っていたのかね」
「いゝえ、松屋の風呂敷に包んで持っていました」
「松屋の風呂敷というと、あそこでお得意先にお使いものにしているものだね」
「はい、錦紗の風呂敷で松に鶴の模様がついております」
「ふうむ」
野村はじっと考え込んだ。
千鶴は漸く野村の考えている事が分って来たので、心配そうに野村の顔を見上げて、やはり何事か考えていたが、
「野村さま。アノ日には何事もございませんでしたが、その前には時々変な事がございました」
「え? ど、どんな事が――」
「二日目毎にお薬を頂戴に参りますのですけれども、この頃何だか変な人が始終私をつけているような気がいたしました」
「つけている?」
「はい、といっても、確かにそうだとはいえないんでございますけれども、行き帰りには何となくつけられているようなんですの」