Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
けれども、そういう中でも、一番顕著なものと云うのは、ほかでもないロムベルグ徴候じゃないか。両眼を覆われるか、不意に四辺が闇になるかすると、全身に重点が失われて、蹌踉とよろめくのだ。それがあの夜、夜半の廊下に起ったのだよ。つまりクリヴォフ夫人は、ダンネベルグ夫人がいる室へ赴くために、区劃扉を開いて、あの前の廊下の中に入ったのだ。知ってのとおり両側の壁には、長方形をした龕形に刳り込まれた壁灯が点されている。そこで、自分の姿を認められないために、まず区劃扉の側にある開閉器を捻る。勿論、その闇になった瞬間に、それまで不慮にも注意を欠いていた、ロムベルグ徴候が起ることは云うまでもない。ところが、そうして何度か蹌めくにつれて、長方形をした壁灯の残像が幾つとなく網膜の上に重なってゆくのだ。ねえ支倉君、ここまで云えば、これ以上を重ねる必要はあるまい。クリヴォフ夫人がようやく身体の位置を立て直したときに、彼女の眼前一帯に拡がっている闇の中で、何が見えたのだろうか。その無数に林立している壁灯の残像と云うのが、ほかでもない、ファルケの歌ったあの薄気味悪い樺の森なんだよ。