Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
あの糸が、埋葬した翌朝には切れていたのでございましたわ。ですけど、私にはとうてい、算哲様の墓※を訪れる勇気はございませんでした」
「その糸と云うのは」検事が鋭く問い返した。
「それは、こうなのでございます」鎮子は言下に云い続けた。「実を申しますと、算哲様はひどく早期の埋葬をお懼れになった方で、この館の建設当初にも、大規模の地下墓※をお作りなったほどでございます。そして、それには秘かに、コルニツェ・カルニツキー(露皇帝アレキサンダー三世侍従)式に似た、早期埋葬防止装置を設けて置いたのでした。ですから、埋葬式の夜、私はまんじりともせずに、あの電鈴の鳴るのをひたすら待ち佗びておりました。ところが、その夜は何事もないので、翌朝大雨の夜が明けるのを待って、念のために、裏庭の墓※を見にまいりました。何故かと申しますなら、あの周囲にある七葉樹の茂みの中には、電鈴を鳴らす開閉器が隠されているからでございます。するとどうでございましたろう。その開閉器の間には、山雀の雛が挾まれていて、把手を引く糸が切れておりました。ああ、あの糸はたしか、地下の棺中から引かれたに相違ございません。