Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate

Aozora Bunko

そして、いまや礼拝堂に、家族の一同に押鐘博士までも加えた――関係者の全部が集っているのを知ると、法水はなんと思ったか、葬儀の発足をしばらく延期するように命じた。それから、

「勿論、犯人が礼拝堂の中にいるのは確かなんだよ。しかも、もう絶対に動くことの出来ぬ状態にある。けれども、僕は伸子に――ことにその遺骸が、地上にある間に、犯人の名を告げなければならぬ義務があると思うのだ」と云ってしばらく口を噤んでいたが、やがて、錯雑した感情を顔に浮べて云い出した。

「ところで支倉君、さしもの巨人の陣営が掻き消えてしまって、この館は再び白日の下に曝されることになった。そこで、まず順序どおりに、最初のダンネベルグ事件から説明してゆくことにしよう。しかし、あの時夫人が何故ブラッド洋橙のみを取ったかという点に、僕は今まであの最短線――サントニン(駆虫剤)の黄視症を疎かにしていたのだ。あの視野一面を黄色に化してしまう中毒症状が、軽い近視のせいも手伝って、果物皿の上から、梨もそれ以外の洋橙も、皿の地と同じ一色に塗り潰してしまったのだよ。したがって、特異な赤味を帯びているブラッド洋橙のみしか、ダンネベルグ夫人の眼には映らなかったのだ。