Classici giapponesi con furigana
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こくてん
黒点
豊島 与志雄
Leggi 黒点 (こくてん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.665 caratteri · 62 schermate
喫驚して起き上ると、母は何とも云わないで裏の方へ出ていった。姉も続いて出て行った。私は一寸待ってから、ふいに駆け出した。
裏の狭い空地の中、お清の室の窓の近くに、低い椿の木の横に、寝間着のまま母と姉とお清とが立っていた。お清は裸の蝋燭を手に持っていた。そのほんのりと赤い光の流れてる地面に、起き上ろうと※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)いてるような恰好をしてつっ伏しに男が一人横たわっていた。
それが父だった。私が駆けつけた時には、お新がわっと父の上に泣き伏していた。
一発を足先に、一発を脇腹に、父は二発のピストルの弾丸を受けて、血に染っていた。
父はもう意識を回復しなかった。医者が来た時は死んでいた。
事件は当時、「戸崎町の殺人」として新聞に詳しく報道された。
犯人はすぐにつかまった。頭字入りのソフト帽が現場に残っていたのと、お清やお新や母の証言があった。そして犯人の陳述は有利だった。お清を殺すつもりでつけ廻していたが、あの晩ふいに後ろから飛びつかれたので、逃げるためにピストルを放って、一つは足を狙い一つは腕を狙ったのである……。それに反対の立証は成されなかった。