Classici giapponesi con furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Leggi 黒百合 (くろゆり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.148 caratteri · 154 schermate
ある処、件の森の中へあからさまに入ったと思うと、牛は宙に躍って跳狂うのが、一ツならず、二ツならず、咄嗟の間に眼を遮って七ツ数えると止んだ。
「しっかりしねえ、もう可いぜ。」といって、少年は手を放した。
お雪は血の気を失った顔を、恐る恐る上げて仰いだが、少年を見ると斉しく身を顫わした。
「あらまたお背中を、ちょいと大変でございますよ。」
「可いッてことよ、こればかしが何だ。」といったが、あわれ身を支えかねたか、またどっさりと岩に腰を掛ける。
お雪は失心の体で姿を繕うこともせず。両膝を折って少年の足許に跪いて、
「この足手纏さえございませねば、貴方お一方はお助り遊ばすのに訳はないのでございます。」
と、いう声も身も顫えたのである。
五十五
「私はどういたしましょう、花も取って頂きました上に、この山に入りましてから貴方ばかり酷い目にお逢わせ申して、今までに、生命をお取られ遊ばすかと思いましたことが幾たびあったでございましょう。体も疵に遊ばして庇って下さいますから、勿体ない、私は一ヶ所擦剥きました処もございません。たとい前の世の約束事でも、これまでに御恩を受けますことはないのでございます。