Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Leggi 黒百合 (くろゆり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.148 caratteri · 154 schermate

Aozora Bunko

滝太郎は事もなげに、

「ああ、こりゃね、神通川の音と、立山の地獄谷の音が一所になって聞えるんだって言うんだ。地底がそこらまで続いているんだって、何でもないよ。」

神通は富山市の北端を流るる北陸七大川の随一なるものである。立山の地獄谷はまた世に響いたもので、ここにその恐るべき山川大叫喚の声を聞くのは、さすがに一個婦人の身に何でもない事ではない。

お兼は顔の色も沈んで、滝太郎にひしと摺寄りながら、

「そうかい、川の音は可いけれど地獄が聞えるなんざ気障だねえ。ちょいと、これから奥へ入ってどうするのさ、お前さんやりやしないか。私ゃ殺されそうな気がするよ、不気味だねえ。」

「馬鹿なことを!」

三十六

「いいえ、お前さん、何だか一通じゃあないようだ、人殺もしかねない様子じゃあないか。」さすがの姉御も洞中の闇に処して轟々たる音の凄じさに、奥へ導かれるのを逡巡して言ったが、尋常ならぬ光景に感ずる余り、半ばは滝太郎に戯れたので。

「おいで、さあ、夜が明けると人が見るぜ。出後れた日にゃあ一日逗留だ、」と言いながら、片手に燈を釣って片手で袖を引くようにして連込んだ。