Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あすなろう

あすなろう

山本 周五郎

Leggi あすなろう di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.925 caratteri · 41 schermate

Aozora Bunko

んですか」

「おまえさんは騙されてる」と文次は顔をそむけながら云った、苦痛のため言葉が切れ、あとを続けるまえに、彼は深い呼吸をした、「――あいつはおまえさんを騙して、百両という金を持ち出させ、いっしょに木更津へ逃げようと云った」

「これはあたしのお金なのよ、お嫁にゆくときに持ってゆくことになっていた、あたしのお金なのよ」

「ああ」文次は首を振った、「あいつは、おまえさんを女房にはしない、その金のあるあいだは遊んでいて、金がなくなればおまえさんの身を売っちまうんだ」

「あんたは誰なんですか」

「誰でもねえ、そんなことはどっちでも、おまえさんはうちへ帰るんだ」文次は歯ぎしりをして空をふり仰ぎ、そのままで云った、「あんな人間の屑みてえなやつにかかわっちゃあいけねえ、あいつのことは諦めて、早くここから」

「あ、――」娘は提灯をかかげて文次を見、口をあけて、それから、するどく叫んだ、「あんた兄さんじゃないの」

「違う」文次は顔をそむけながら首を振った、「おらあそんな者じゃあねえ」

「いまあんたはおひろって呼んだわ」と娘は云った、「どうしてその名を知ってるのよ、あたしは躯が弱かったので、十四の年におむらと名を変えたのよ、あんたは兄さんだわ、あたしが十二の春に家出をした