Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
Leggi あなたも私も (あなたもわたしも) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 133.405 caratteri · 263 schermate
そう言うと、なんともつかぬ微笑をしてみせた。美術館で、遠くから愛一郎のほうを、じっと見ていた、憂いにみちたあのときの顔だった。
「愛一郎は、臆病なくらい内気で、物事に熱中したりしないやつでしたが、このごろ、たれの手紙を待っているのか、毎朝、門に出て、郵便受の前で張番をするようなことまでします」
美術館のティ・ルームでお茶を飲んでいるときに、もう、このキザシは見えていた。愛一郎の父は、サト子が愛一郎の愛人だと思いこみ、あくまでも調停の役をつとめようというのらしい。
「よく眠れないようだし、日ましに痩せて行くのが見える……なにか、はじまっているのだろうとは、察していましたが、きょう、美術館で、あれのすることを見て、はじめて得心がいったわけです」
サト子は、言うことがなくなって、だまってコォフィを飲んでいた。
「一週間ほど前、愛一郎は、久慈という家へ遊びに行くといって家を出ましたが、翌朝、疲れて、青くなって帰ってきました。あれは、久慈なんかの家にいたのではなくて、朝までお宅にお邪魔していたのではなかったのですか?……どこもここもグッショリとぬれているので、どうしたのだとたずねると、私の手にすがって、死んだほうがいいというようなことを言いました……あなたが、相手にしてくれないので、飯島の澗へ身投げでもしたのでしょう