Classici giapponesi con furigana
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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
Leggi いなか、の、じけん di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.535 caratteri · 78 schermate
「コン畜生……ひねり殺してくれる」
と独言を云い云い籠の口を開けて、黒光りに光る手首をグッと突込んだ。
赤い鳥は驚いた。バタバタと羽根を散らして上の方へ飛び退いたが、なおも真黒い手が掴みかかって来るのを見ると、その手の甲へ勇敢に逆襲して、死に物狂いに喰い附いた。
「アッ……テテッ……テテェテテェテテェッ……」
桃の刺青も一生懸命になった。深く刺さった鈎型の嘴を一気に引き離すと、黒血のしたたる手首を無我夢中にふりまわしたが、そのはずみに籠の底が脱けてバッタリ落ちたので、赤い鳥は得たりとばかり外へ飛び出して、見る見るうちに遠い松原の中に逃げ込んでしまった。
「……君は一体何をするんだ……」
鳥のあとを逐うて二三歩馳け出したまま、ボンヤリと焼け砂の上に突立っていた桃の刺青は、突然にうしろから怒鳴り付けられたのでビックリして振り返った。見ると浴衣がけの若大将が湯上りの身体をテラテラ光らせながら、小さな眼を光らして縁側に突立っていた。そのうしろから寝巻をしどけなく着た奥さんが、咽喉をピクピクさして泣きじゃくりながら、帯を捲き付け捲き付け出て来る模様であった。
「……二百円もする鳥を何で逃がした……うちの家内が吾が児のようにしていたものを……」