Classici giapponesi con furigana
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おかよ
おかよ
山本 周五郎
Leggi おかよ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9116 caratteri · 19 schermate
「あっ印東が……」「ばか者、どうするんだ」人々は呆れて眼をみはった。……弥次郎は駈けた、敵の櫓からは銃火が走った。十間、二十間、その弾雨のなかを身をかがめたまま、非常な迅さで弥次郎は駈けて行った。しかし、城壁まであと二十間あまりというところまでゆくと、彼は突きとばされたようにのめり、だっとはげしく顛倒した。「やられた」見ていた人々は、思わず声をあげた。……隘路のまん中に倒れた弥次郎は、いちどよろよろと起きあがったが、すぐにまたどっと倒れ伏した。そしてそのまま動かなくなった。
「ばかなまねをする奴だ」植村七兵衛は吐きだすようにそう云った。それに答えるごとく、角櫓から「わあっ」と囃しどよめく声がきこえた。しかし、それから間もなく、第三隊の中でとつぜん妙な声が起った。
「おい待て、よく見ろ」
「……なんだ」みんなその男の指さすほうを見た。
「あの死体が動いているぞ」
「なに死体がどうしたと」
「印東の死体をよく見ろ、さっきの場所よりずっと前へ出ている」
みんなぎょっとした。みんなの眼が弥次郎の上に集った、……動いている、はっきりわかるほどではないが、弥次郎の死体は地面に俯伏せになったまま、ほんの少しずつ、しだいに城壁のほうへと這い進んでいた。