Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おじさんのはなし

おじさんの話

小山 清

Leggi おじさんの話 (おじさんのはなし) di 小山 清 (こやまきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.232 caratteri · 42 schermate

Aozora Bunko

」

礼次郎というのはおじさんの名前である。かつて総理大臣をした人に、おじさんと同じ名前の人がいたように思う。いまなお矍鑠としているおじさんに対して、あらかじめ死後のことを懸念するというわけのものではない。

国にいたときおじさんはなにをしていたか、それはつい聞いていない。身の上話などはあまりしない人だが、いちどかつておかみさんだった人のことを、「怪しからぬことがあったから。」と云ったことがある。よくはわからぬが、国を飛び出したのも、そんなことが原因のようである。

私達が女の話をはじめても、それに加わるようなことはまずなかった。おじさんと一緒に道を歩いていて、通りすがりの女のことを、私が、

「悪くないじゃないか。」

と云ったら、おじさんは顔を背けて、苦々しそうに唾を吐いた。

「おじさんはなかなか好男子だから、若いときはもてただろうなあ。」

と私達が冗談を云えば、

「おう、もてたもんだよ。」

と他意なく笑った。

それにしても、おじさんは、国を出てから三十年にもなるわけであった。

おじさんは矍鑠としていた。病気をして寝込むなんてことも殆どなかった。それでも戦争の終る頃には、神経痛が出て歩行困難になり、よそめにもめっきり衰えが見えたこともあったけれども、それは寄る年波のせいもあろうが、主として当時の栄養不足が原因であっ