Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate

Aozora Bunko

「ははは。若旦那」と、松五郎が口をはさんだ。「そいつァちと責めが強過ぎやしょう。小僧さんに罪はねえんで。みんなあなたの我ままからじゃござんせんか」

「松つぁん、お前なんぞの出る幕じゃないよ。黙ってておくれ」

「そうでもござんしょうが、市どんこそ災難だ。何んにも知らずにお供に来て、おせんに遭ったばっかりに、大事な奉公をしくじるなんざ、辻占の文句にしても悪過ぎやさァね。堪忍してやっとくんなさい。――こう市どん。おめえもしっかり、若旦那にあやまんねえ」

「若旦那、どうか御勘弁なすっておくんなさいまし」

「いやだよ。お前は、もう家の奉公人でもなけりゃ、あたしの供でもないんだから、ちっとも速くあたしの眼の届かないとこへ消えちまうがいい」

「消えろとおっしゃいましても。……」

「判らずやめ。泥の中へでも何んでも、勝手にもぐって失せるんだ」

「へえ」

尻ッ端折りの尾骨のあたりまで、高々と汚泥を揚げた市松の、猫背の背中へ、雨は容赦なく降りかかって、いつの間にか人だかりのした辺の有様に、徳太郎は思わず亀の子のように首をすくめた。

「もし、若旦那」

円く取巻いた中から、ひょっこり首だけ差し伸べて、如何にも憚った物腰の、手を膝の下までさげたのは、五十がらみのぼて振り魚屋だった。