Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
おせん
おせん
邦枝 完二
Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate
「打ったのではない。お前が、わたしの手を取りやはって。……」
「ええ、もう辛抱がなりませぬ。手前と一緒にもう一度、春信さんのお宅まで、とっととおいでなさりませ」
ぐっとおこのの手首をつかんだ新七には、もはや主従の見さかいもなくなっていたのであろう。たとえ何んであろうと、引ずっても連れて行かねばならぬという、強い意地が手伝って、荒々しく肩に手をかけた。
「これ、新七、何をしやる」
「何もかもござりませぬ。あの帯は、太夫が今度の芝居にはなくてはならない大事な衣装、手前がひとりで行ったとて、春信さんは渡しておくんなさいますまい。どうでもお前様を一緒に連れて。――」
「ええ、行かぬ。何んというてもわしゃ行かぬ」
星のみ光った空の下に、二つのかたちは、犬の如くに絡み合っていた。
「ふふふふ。みっともねえ。こんなことであろうと思って、後をつけて来たんだが、お上さん、こいつァ太夫さんの辱ンなるぜ」
「えッ」
「おれだよ。彫職人の松五郎」
六
留めるのもきかずに松五郎が火のようになって出て行ってしまった後の画室には、春信がただ一人おこのの置いて行った帯を前にして、茫然と煙管をくわえていたが、やがて何か思いだしたのであろう。