Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Leggi お律と子等と (おりつとこらと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.195 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

すると帯を解いていたお絹が、やや皮肉に彼へ声をかけた。

「慎ちゃん。お早う。」

「お早う、お母さんは?」

「昨夜はずっと苦しみ通し。――」

「寝られないの?」

「自分じゃよく寝たって云うんだけれど、何だか側で見ていたんじゃ、五分もほんとうに寝なかったようだわ。そうしちゃ妙な事云って、――私夜中に気味が悪くなってしまった。」

もう着換えのすんだ慎太郎は、梯子の上り口に佇んでいた。そこから見える台所のさきには、美津が裾を端折ったまま、雑巾か何かかけている。――それが彼等の話し声がすると、急に端折っていた裾を下した。彼は真鍮の手すりへ手をやったなり、何だかそこへ下りて行くのが憚られるような心もちがした。

「妙な事ってどんな事を?」

「半ダアス? 半ダアスは六枚じゃないかなんて。」

「頭が少しどうかしているんだね。――今は?」

「今は戸沢さんが来ているわ。」

「早いな。」

慎太郎は美津がいなくなってから、ゆっくり梯子を下りて行った。

五分の後、彼が病室へ来て見ると、戸沢はちょうどジキタミンの注射をすませた所だった。母は枕もとの看護婦に、後の手当をして貰いながら、昨夜父が云った通り、絶えず白い括り枕の上に、櫛巻きの頭を動かしていた。