Classici giapponesi con furigana
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おとうさん
お父さん
林 芙美子
Leggi お父さん (おとうさん) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.548 caratteri · 76 schermate
金井君がいいました。
「どうして」
「だって、長野の山の中には、犬なんてめったにいなかったよ、猫の方がたくさんいたなあ」
金井君は、去年の三月、長野へ疎開して行きました。僕にもいっしょに行こうとさそってくれたのですけれど、僕はおとうさんが出征していなかったし、おかあさんが、どんなに苦しくてもいっしょにいて下さいとおっしゃったから山へ行かなかったのです。
金井君は山のあらもの屋でとうがらしを買ってなめたお話をよくします。
ごはんがたりなくておなかがすくので、みんなあらもの屋へいって、たべられるようなものを何かさがすのだそうです。はじめはオレンジのもとというあかい粉を買ってなめていたけれど、みんなが、それを買うので、それもなくなり、こんどはわさびの粉を買ったり、とうがらしを買ったりしてなめた話をしました。
金井君はとても正直ですから、よく田舎の話をするたび、田舎の生活をあまりよくいいません。よっぽど苦しかったとみえて、田舎では東京へかえりたくて、友だちが、みんな、いろんなぼうけんをした話をしてくれました。
「僕ねえ、田舎って、絵のようにきれいなところだと思っていたのさ、そりゃあ、景色はきれいだったけれど、つまらないよ。