Classici giapponesi con furigana
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おみつかんざし
お美津簪
山本 周五郎
Leggi お美津簪 (おみつかんざし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.158 caratteri · 26 schermate
「なるほどね」
「つめ賽は博奕の法度、場銭を掠ったうえに簀巻にして川へ叩きこまれても文句の云えねえのが仲間の定法だ、――正さんの顔なら凄味があってきっと威しが利くぜ」
「面白い、それあ物になるねえ」
お紋は振返って、
「で――その客の当てはあるのかい?」
「それが無くて相談に来るかい、五十両ずつ持った旦那衆が二人いるんだ」
「乗ろうよ、その話」
「有難え、早速の承知で何よりだ、なにしろ急な話で他に人がねえ、正さんならと見当をつけてやって来たんだ、――じゃあ済まねえがおらあ直ぐ橋場へ知らせるから、一刻ばかりうちに葉名家の方へ来てくんねえ」
「おや、今夜なのかえ」
「客人はもう橋場へ来ているんだ」
そう云って辰次郎は立ち上った。
辰を送り出してお紋が戻って来ると、正吉は壁へ凭れたまま虚ろな眼で空を覓めていた、――とろんと濁った眼だった、蒼白い紙のように乾いた皮膚、げっそりとこけた頬、艶を失った髪の毛……お紋は慄然として眼を外向けながら、鏡へ向って肌を脱いだ。
「正さん、いまの話――やっておくれだろうねえ?」
「……厭だ」
にべもない返辞だった。
「厭だって、どうしてさ」
「このあいだ断った筈だ、こんな浅ましい仕事はもう沢山だ、真平御免蒙るってちゃんと断って置いた筈だ」