Classici giapponesi con furigana
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かやのおいたち
かやの生立
岡本 かの子
Leggi かやの生立 (かやのおいたち) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.632 caratteri · 25 schermate
かやはこの葉の色が、晩秋の頃の武蔵野の低い丘から丘へ続いて、小春日和の柔かい陽の色に、地味なかがやきを見せたり、落葉の散り敷いた疎林のなかへ、赤錆びた落日の余光がさし入る頃風と名のつけようも無いほどかすかな夕風が忍びやかに渡ると、わずかに残った梢の葉擦れが、寂しさ、なつかしさを囁き交わす様なひそかな音をたてる、あの時のままの茶褐色であるのを見た。
「ぴい――」
と、吉蔵が、だしぬけに、可愛くけたたましい音を立てて何かを吹いたかと思うと、
「へい、おかやちゃん、いいものを、あげべい」
と、皮の厚い健康相な唇を舌でなめ乍ら、かやの前へ突き出したものがある。それは雑朶の細枝のふたまたになって居る岐れめに何かの虫が附けた玉子から、至極巧に、中味の虫の子が脱け出したあとの、可愛い笛の様な音を立てる小さな穴の一つあいた、かやの紅さし指のあたま位いな、貝のように硬い滑かな、灰色に白い斑の付いた殻であった。
かやはたちまちその殻に抑え切れ無い程な好奇心と愛着を生じてしまって、まだほかに幾つも幾つも欲しかった、それを見付けるために、雑朶の間をあちらこちら歩いて居ると、後の方の婆やと吉蔵との間に、いがみ合う様な笑い声が突然起った。